火打岳〜槍ヶ崎〜一杯森 縦走
 


2021年4月27日(火)〜28日(水)

 メンバー:嶋脇さん(青森県)、小田中 智
 コース:土内火打新道入口〜西火打岳〜火打岳〜槍ヶ先〜八森山〜一杯森〜萩野口  


  嶋脇さんから1泊2日で神室連峰にある火打岳に行きたいとの依頼をいただいた。彼の目的は、本来神室連峰の縦走であるが、3日間休めないのでとりあえず火打岳のみの登山となった。
 縦走するためには車の回収をどうするかであるが、林道の雪も解けたので自転車で車を回収することにした。彼はマラソンの他に自転車でツーリングも趣味で、時々山でも車の回収に自転車を利用している多趣味な若者である。
 登るからには往復ルートよりも縦走が楽しいので、地図で検討した結果、火打新道から登り火打岳から八森山、一杯森から萩野口に下山するコースで了承を得た。
 車の回収は、萩野口に自転車をデポし、下山後空身で自転車で車を回収するのである。その間私は下山口で待機である。八戸から車の移動だけでも4時間30分かかるので、往復の時間を計算すると1泊2日でもギリギリの時間だ。  

 神室連峰は、山形県の北東部、奥羽山脈中央部の西側に位置し、連峰の屋根をなす主峰の神室山、最高峰の小又山、怪峰火打岳などは、栗駒国定公園に含まれる。
 東北一のやせ尾根と言われる25kmに及ぶ連峰は、冬にはアルペン的な顔を見せ、東側の急斜面には美しいヒマラヤひだが刻まれる。春には多くの残雪とブナの新緑が調和して見事だ。花は110種類程見ることができ、イヌワシやクマタカも生息する。

火打岳(1,237.8m)
 神室山地南西部に位置し、最上町と新庄市の境をなしている。冬季は季節風をもろに受け止めるため積雪が多く、森林限界の低い尾根は偏東積雪による見事な雪庇を連ねる。
 地質的には広く花崗岩が露出しており、非対称山稜の発達した尾根と、滝やゴルジュが連続する深い谷が特徴である。なかでも小又山から槍立に続く尾根から望む火打岳東面は、大横川に一気に落ち込む際立った光景である。
一方、南面は比較的緩傾斜で、広くブナの原生林に覆われている。山頂付近には、春にはミネザクラ、夏にはハクサンフウロなどが美しく咲き誇る。
 神室連峰唯一の一等三角点のある山頂からは、新庄盆地を取り巻く山々が一望でき、神室連峰主峰の神室山への縦走路は果てしないように続いている。まじかに鳥海山、月山が見え、遠く岩手山、朝日連峰、蔵王連峰、吾妻連峰が見える。

27日(晴れ)
 自宅に5時に来ていただき、湯沢へと高速道に乗る。嶋脇さんは昨日は遅番で2時間の睡眠のため、朝弁当を食べた後は眠った。朝から天気が良く、山も快晴の予報で、途中から見えた鳥海山はまだまっ白い山容だ。
大似良川の一杯森登山口は25000分の1地図と違う場所にあったため、下の場所に自転車をデポした。それから火打 新道入り口に向かう。距離は10kmほどで下り道なので、自転車が得意の嶋脇さんなら自転車での車の回収も楽そうだ?
 登山口は土内川に架かる大きな吊り橋で、出発したのはすでに10時だった。橋を渡って間もなく小沢を徒渉するのだが、石は岩垢でヌルヌルしており、危なくキャッパリしそうになった。それを見ていた嶋脇さんは、上流へと徒渉点を探すがなかなか見つからない。
 沢を渡ると直ぐに急登が始まり、1時間登ってやっと641mの尾根上に出た。そこからは緩やかな尾根で、イワウチワの群落の尾根だ。こんなステキな群落は初めて見た。
 再び急登が始まり、残雪が出てくると西火打岳に出た。荷物は14kgとそれほど重くはないが、けっこうキツイ登りだった。寝不足の嶋脇さんも辛そうで、疲れたのは私だけではないので安心した。重かったアイゼンを着けて荷物を軽くする。
 あんぶに下ってからの、火打岳への登り返しがキツそうだ。登りの途中で雪が無くなったので、登山道を探しながら登って行く。今の時期は残雪から登山道を見失うとえらい藪漕ぎになってしまうので、GPSはなくてはならない案内人である。
 急な登りで火打岳に着くと360度の大展望で、鳥海山と月山が間じかに見えた。これから進む槍ヶ崎への稜線から神室山へと続く稜線はかなり遠くに見える。その中間にある小又山はひときわ大きいピークだ。
 今日の宿泊予定地は槍ヶ崎の先であるが、そこまでは行けないので雪の平坦地を探しながら歩かねばならない。六尺山から下ったあんぶにやや平坦な場所があったので、テン場をここに決め雪を削って平らにする。
 今日も疲れた一日で、荷物を整理した後のウイスキーの一口がうまい。予定より進めなかった分は朝早く出発しなければならない。飲むものを飲んでシュラフにもぐる。嶋脇さんは、山に来た時だけの寝だめである。


火打新道登山口


登山口の吊橋


イワウチワの群落


ブナ林が続く登山道


火打岳西峰付近から望む 右から小又山、天狗森、神室山、前神室山


火打岳


火打岳山頂 右から虎毛山、小又山、天狗森、神室山、前神室山


大尺山(左手前)、真中手前から槍ヶ先、烏帽子山、八森山、うっすらと葉山


中先手前のあんぶに張ったテント

タイム:火打新道入口(10:00)→西火打岳(14:55)→火打岳(15:50〜16:10)→中先あんぶ(17:10)


28日(高曇り)
 4時起床し8時間眠ったが、まだまだ眠い。どんよりとした空ではあるが、鳥海山は見えているので高曇りだ。朝はまだ寒いのでカッパを着て出発する。
 稜線はほとんど雪がないのでアイゼンは不要みたいだ。今の時期は、ピッケルにするかアイゼンにするかどちらかで良いので、私はアイゼンにした。嶋脇さんは、ピッケル、アイゼン、ワカンと全部持ち放題だ。
 昨日はイワウチワが咲き放題だったが、今日はカタクリの群落で、朝の寒さでうつむいているので写真が取れない。キクザキイチゲの白と青も負けじとばかりに咲いている。
 槍ヶ先から見える、これから進む八森山はけっこう遠くに見える。足で歩いて行くということは偉大なものだ。車ならブーンと進むのですぐだが、歩くことは車に比べるとウサギとカメである。ましてや今の私は早く歩けなくなり、カメ以前だ。しかしいずれはちゃんと目的地に着くのであるからすごいものだ。
 嶋脇さんはまだ寝不足みたいだ。八森山手前の市町堺分岐でうたた寝すると、八森山をパスしないで歩いてくれた。八森山は展望が全くなく、山頂の標識もない。
 先に進んだ西峰に八森山の看板があった。しかし、ここは西峰であり、本峰は展望がないので看板だけ変えたようだ。国土地理院地図とは異なるので、視界が悪い時などは迷う原因にもなると思うのであるが?
 西峰から沢への下りは、夏道が雪に隠れていたりと分かりづらく、太いネマガリダケの藪を漕ぎながら道を探した。こんな深い藪に迷い込んだら大変である。ここでもGPSが大活躍を見せた。このコースは3月下旬から4月始めが雪があり歩きやすいと思うし、稜線はやせ尾根もあり緊張感という楽しさもあることだろう。
 沢に降りて、一杯森への稜線に登り返しであるが夏道が見つからない。GPSの地図では間違いなく夏道の上を指しているのだが、登山道が無いのである。残雪の急斜面をキックステップで登り、稜線も近くなったので藪を漕いで登った。
 稜線から30分ほどして一杯森の標識があった。国土地理院の地図とGPS地図を照らし合わせると、なんとGPSの地図が違っていたのである。これは今までで初めての経験でビックリした。
 私は地図とGPSの両方を見ながら歩いているが、やはりGPSだけでは迷う原因にもなることが分かった。まして、近年の登山者は携帯アプリの地図ばかりを見ているようであるが、私はそれはおもちゃとしか思えない。夏の雨降りや冬の吹雪では使い物にならなく、現在地は分かっても進むべき方向が分からないのである。
 一杯森から下った所に杢蔵山と萩野口に下る分岐があるはずであるが、雪のためか標識が見当たらなく夏道も見つからない。地図を見ると尾根になっているので、少しの間藪を漕ぐと夏道が見つかると思った。
 藪を漕いで下って行くと顕著な尾根となり、夏道が見つかった。雪もなくなり、もう迷うところは無くなったはずであるが、今度は歩いている道と国土地理院の地図が違うのである。地図では尾根を真っすぐ下へ下っているが、夏道は沢を横切り別の尾根を下っているのである。
 別に迷ってしまうことではないが、まったく地図と夏道が違うのも初めての経験だ。そういえば昨日、自転車をデポするとき、登山口とGPS地図の位置が違っていたのである。どうもこの付近の山の地図は信用できないようだ。
 雪山では夏道をたどる必要がないので、地図を見て歩けばよいのであるから問題ないが、今の時期は残雪で夏道が途切れ途切れになっているので要注意である。
 木々は新緑を迎え、道すがらにはタムシバの白い花とオオヤマザクラのピンクの花が、新緑と相まって和やかな雰囲気だ。「子供の夢を育む森づくり」という看板があり、この辺は植林をしているようだ。
 やっと林道に出て、10分も下ると自転車デポ地に着いた。嶋脇さんは自転車で車の回収に向かい、私は虫がうるさいのでテントを張って寝て待った。1時間程で戻ってきた。ご苦労様でありがとさんでした。
 新庄市内でラーメンを食べ、風呂屋に向かう。神室ダムの温泉は休みで引き返し、湯沢市内にあるゆざわ温泉で汗を流した。
 矢巾に着いたのは23時で、夜で暗いうえ雨降りライトが眩しく目が疲れた。しかし、嶋脇さんはこれから2時間走らなければならないのである。お疲れ様です、ご苦労様です。


槍ヶ先(真ん中手前)、八森山(真ん中奥)、月山(右奥)


槍ヶ先にて 指の左に火打岳、顔の右に大尺山


烏帽子山から見る八森山方面


ふり返った烏帽子山(少し左手前)、槍ヶ先(烏帽子山の右)、火打岳(真ん中奥)、大尺山(火打岳の右)


キクザキイチゲブルー


八森山西峰にて ザックの右に火打岳、その右奥に小又山


左奥から前神室山、神室山、火打岳、小又山


一杯森の稜線に向かって急な雪渓を登る


真ん中に八森山西峰、左に八森山


一杯森から望む 烏帽子山(真ん中手前)、大尺山(真ん中奥)、火打岳(大尺山の左)


タムシバ


オオサクラソウ


一杯森ふれあいの森


一杯森登山口


登山口の下にデポした自転車

タイム:テン場(6:10)→槍ヶ崎(7:20)→八森山(10:20)→一杯森(13:20)→萩野口登山口(16:10)
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